オーディションについて
かつて私はモデルをしていて、オーディションには、何回も何回も行ったものである。不慣れな東京の様々な土地に出向き、地図を見ながら、あたふたしながら、時間に少し遅れたりして、オーディションに行ったものである。しかし東京というのは、怖い街である。いろんな場所があり、いろんな人がいる。そういった人達を見ながらオーディション会場に向かったものだ。会場では会社の人、モデルの人、スタイリストの人、いろんな人たちがいて、それぞれの役割を淡々とこなしていた。いややはりすごいと思った。これがモデルの世界なのか。この世界で私はやっていくんだ。そんな思いで、非常に身が引き締まったのを覚えている。トップモデルというのは、すごいものである。カメラマンの要望に対して、瞬時にポーズをとり、最高のシャッターチャンスを提供する仕事である。なかなか慣れてなければああいう事はできないであろう。モデルの世界というのは、経験の世界である。素人はやはり負けてしまうのがオチである。とにかく自分も経験を積み、トップモデルにならなければ、後がない。人生がない。くらいに考えていた。しかしながら結局普通に就職した。それで特に後悔はないのである。